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卒業設計作品集

「建築士の日」記念事業として、東京建築士会が実施しています。大学(東京圏)の建築系学科等の中から、住宅課題における優秀作品を各校1作品ずつ推薦してもらい、それらを一同に集めた展示会です。

【9年目を迎えた建築学生にとっての登竜門】
東京建築士会では、平成13年より「住宅課題賞」入選作品展(建築系大学住宅課題優秀作品展)を開催。今年で9回を数える本作品展は、基本である住宅の設計を通して、大学における建築教育の情報交換・向上を図る目的で企画されている。
首都圏にある大学の建築系学科(参加33大学43学科)が、建築設計授業での住宅課題における優秀作品を1点ずつ推薦し、それらを一同に集め、出展作品を全て『入選』とした上で特に優れた作品に優秀賞を贈る。
今年も竹中工務店東京本店1F ギャラリー エー クワッドにおいて、19日間に渡り作品を展示。
10月31日に行われた公開審査では、出展関係者ほか、160名を超える参加者が来場。審査委員長の植田実氏をはじめとし、4名の審査委員(乾久美子氏、城戸崎和佐氏、高井啓明氏、平田晃久氏)を迎え、3時間を超える白熱の審査により、43作品の中から9点を『優秀賞』として選出。1等は鈴木智博さん(慶応義塾大学)の「集合住宅の設計」に決定した。



【立体化する共有スペース】
公開審査は、各審査員が選んだ案へのコメントから始まる。それぞれの印象に残った案を説明していく中で、上位の2案になったのが、鈴木案「集合住宅の設計」と野上案「世田谷の住宅」。
乾・高井・平田各氏の第一推薦となった鈴木案と、植田氏の第一推薦、乾・平田氏の第二推薦となった野上案。
両者のどちらを1等にするかで議論を重ねていく中、「一生懸命よく作っている案でこれは上位にあってほしい」と審査委員長の植田氏。両者に票は入れていないものの、1等になるのは鈴木案ではなく野上案だと城戸崎氏が加勢する。両氏が野上案を推す中で、冷静に平田氏が応援演説をする。「鈴木案は集合住宅の在り方を変えている部分があるのではないか。今までの集合住宅を立体化したとき、屋外のスペースというのはバルコニーという概念に縛られていたり、ヴォイドという概念によって屋外のスペースを穿ったり・・・そこに公共の場所ができているというイメージがあるが、この案はもっとあいまいな領域を作り、どこからどこまでが集合住宅でどこからどこまでが外部でというのがはっきりと決まりきらない場所、庭という概念とはいいきらない場所、が空中にできている。しかもそれが囲まれてはいなく、限定されていない場所と新しい概念ができている。しかも非常に単純である。」と口を開き、同じように、宙に浮いた共有スペースを評価した乾氏、高井氏の最高点が決定権となり、鈴木案が1等となる。そのままの流れで野上案は2等に納まった。
審査は1等、2等の決定から始まったが、その後も議論は白熱し、終わってみると3等が2名、入賞5名という当初準備されていた数よりも増える結果となった。



【卒業設計でも集合住宅を――1等 鈴木智博さん(慶応義塾大学4年)】
この課題は3年になって初めて真剣に住戸の構成などを悩んで作った作品。
思い入れがあって、それが評価された事が嬉しいです。
次の目標としては、来年卒業なので卒業設計でまた集合住宅をやりたいと考えています。単純な図式になっているもので、組み込んだような今回の作品よりももう少しきれいにまとめた集合住宅を考えたいと思っています。
住宅課題賞は年々レベルがあがってきていて、これからは卒業設計展や九州のデザインレビューのような質の高いパネルや模型が集まってくると嬉しいなと思います。

【取材者コメント】
多くの学生にとって、自分の大学とは違った、他の大学の住宅課題内容や設計を見る機会として、この住宅課題賞が大きな存在となっているのではないか。卒業設計を始める前に出展している者にとっては、他大と自分の大学との設計のレベルを探り、大学とは違った審査員の先生方に自分の作品を見てもらう機会というのは、構築し始めている自分の建築を見直す機会ともなる。その後、ここで出展したメンバーとはまた卒業設計展で出会ったり、競ったりしていく。建築学生にとっては対外試合の登竜門的な存在でありながら、一方で建築学生の仲間を増やす交流の場となっている。そんな機会だからこそ、審査員の先生方は建築を始めたばかりの学生の作品を丁寧に見て回り、学生の声に耳を傾ける。時に鋭いコメントをしつつも、評価すべき点を評価し、新しい建築の在り方、審査員の興味との関係を話題にあげ、学生と交流する。



(取材・文=村山圭)

1等:
『集合住宅の設計』 鈴木智博(慶応義塾大学)

2等:
『世田谷の住宅』 野上晴香(東京理科大学)

3等:
『住宅の設計プロセスを設計する』 平野有良(首都大学東京)
『○○のない家』 徳山史典(横浜国立大学)

入賞:
『時間と住宅-40年を設計する-』 杉崎瑞穂(神奈川大学)
『階段と家』 田口慧(東海大学)
『コーポラティブハウス』 倉雄作(東京都市大学)
『兄弟世帯が暮らす家』 田島綾菜(前橋工科大学)
『集合住宅+A』 堀駿(早稲田大学)



>>詳しい作品一覧はこちら

■展示
2009年10月15日(木)~11月6日(金)
10:00~18:00 (最終日16:00まで)

■公開審査
2009年10月31日(土)
13:00~16:00

■展示
竹中工務店東京本店 ギャラリー エー クワッド
(東京都江東区新砂1-1-1 竹中工務店東京本店内1F)

■公開審査
竹中工務店東京本店2F Aホール

■委員長
植田実

■審査員
乾久美子、城戸崎和佐、高井啓明、平田晃久

木下庸子

社団法人 東京建築士会