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卒業設計作品集

トウキョウ建築コレクション実行委員会は学生が主体となり、修士設計作品の展覧会の必要性を感じ、これを発表できる展覧会として「トウキョウ建築コレクション」を企画、開催することとなった。

トウキョウ建築コレクション2009

【社会とつながる修士の活動を見せる】
 建築を専攻する修士学生の祭典「トウキョウ建築コレクション」は、昨年までの修士設計展、修士論文展、講演会に、プロジェクト展が加わり、4本立ての企画となった。
 修士設計展では1次審査を通過した25作品が展示された。昨年よりも数は絞られたが、それぞれの模型は大型化した印象。会場のヒルサイドフォーラムは、様々な材料を用いた展示物で埋まった。公開審査の方法は例年と同じで、プロジェクタを使った出展者によるプレゼンテーション、展示会場で出展者と審査員が1対1で対話する巡回審査、審査員による公開ディスカションという3段階で行なわれた。
 修士論文の企画では、前回3日間にわたって行なわれた討論会を1日に短縮。発表本数も15本と厳選されたが、レベルの面では充実が感じられた。ただし、歴史、意匠、計画系の論文が多く、構造系の応募はたったの2本、環境系にいたってはゼロと、分野のバランスが悪かった点は、今後の改善が望まれるところだろう。
 新設のプロジェクト展は、大学院の研究室で取り組んでいる研究やプロジェクトをプレゼンテーションするというもの。パネルによる展示のほか、コメンテーターを招いてのスタジオ・トークを3日に分けて開催した。活動のレベルにバラツキはあるものの、修士の活動が社会とつながっていることを示す好企画となった。

【藝大大学院が強さを見せつける──審査講評】
 修士設計展の公開審査で指摘されたのは、新しい空間モデルをイマジナティブ(想像力を膨らませて)に追求した作品と、現実の社会問題に対して応えようとした作品の、2種類に大別できること。「どちらも大事」(乾氏)、「両方やれ」(西沢氏)との意見が出たものの、結果的には前者を代表する白井さんの作品(紙を折り曲げる単純な操作から複雑な空間を生み出す)、顧さんの作品(人間の顔から図像を展開させる)、神山さんの作品(影の出方から空間を逆に導く)が受賞。後者を代表する篠田朝日さんの作品(北海道の過疎地で小屋を提案)は、途中まで高い評価を得ながらも選を逃した。それ以外では、パラディオ*1を扱って巨大家具に再構成した新さんの作品は内藤氏からの評価で個人賞を獲得。ちなみに、受賞者4人のうち3人が東京藝大大学院の所属である。昨年のグランプリ受賞に続いての快挙で、「藝大強し」を印象づけた。


Photos by Ippei Katsumi.
Photos except as noted by the organizer.

【審査員にきく──(古谷誠章 修士設計展審査員/アドバイザー)】
 3年目となる修士設計展は、レベルが明らかに上がってきた。しかしその一方で、均質化も進んでいるように見える。他流試合で互いの手の内が見えてくることによってみんなが同じになっていくのではなくて、望むべくは、それぞれが自分にしかできないことを見極めて、固有の能力に磨きをかけていくようにしないといけない。そのための場として、このイベントが活用されていくことを願っている。

【取材者コメント】
「トウキョウ建築コレクション」は、学校合同の設計作品展という枠を超えた総合的な建築イベントをめざしている。新設された「プロジェクト展」は、そうした狙いをさらにはっきりとさせるものだ。修士学生は、建築家をめざすなら「修士設計展」に、文章がうまければ「修士論文展」に、設計も文章も苦手だけど大勢の人を巻き込んで物事を起こすのが得意なら「プロジェクト展」にと、それぞれ自分の才能を生かせる分野で参加できるようになっている。今回、「修士設計展」と「プロジェクト展」の両方にエントリーした出展者がいたが、「修士設計展」で自作をプレゼンした時より、「プロジェクト展」で地方の人たちとの交流について語った時の方が生き生きとして見えたのが印象的だった。また、「プロジェクト展」での発表は、その多くが実社会と関わりをもったものである。大学生と大学院生の違いが、そこにははっきりと出ている。その意味でも、「プロジェクト展」の開催を評価したい。
[取材・文=磯達雄]

*1 パラディオ:アンドレア・パラディオ(1508-80年)。近代以前で、建築界に最も大きな影響力をもったイタリアの建築家。盛期ルネサンス様式の代表作『ラ・ロトンダ』、著書『建築四書』が有名。18世紀に英国で始まった「パラーディアニズム」運動はヨーロッパ、アメリカにまで波及した。

代官山ヒルサイドテラス

トウキョウ建築コレクション2009実行委員会

2009年3月3日[火]-8日[日]

3/7
全国修士設計展 公開審査会
【審査員】
内藤廣[建築家]
木村博昭[建築家]
乾久美子[建築家]
西沢大良[建築家]
古谷誠章[アドバイザー・建築家]
【応募条件】
2008年9月~2009年3月修了/修了見込の修士学生による修了時に審査対象となる修士設計作品に準ずるもの。修了審査がない場合は、修士課程在学中の作品を対象とする。
【出展料】
1作品につき3,000円
【出展数】
102作品
【審査方法】
2月末に同じ審査員によるポートフォリオでの1次審査。3/7、1次審査を通過した25人が公開プレゼンテーション。展示会場での巡回審査を経て、公開討議を行ない、各賞を決定。
【受賞者】
グランプリ:『Atoms fit』白井尚太郎[東京藝術大学大学院]
内藤廣賞:『VILLA PALLADIO』新雄太[東京藝術大学大学院]
木村博昭賞・古谷誠章賞:『かげとらくだ』神山義博[信州大学大学院]
乾久美子賞・西沢大良賞:『都市ヲ想フ絵図』顧彬彬[東京藝術大学大学院] ]


Photos by Ippei Katsumi.
Photos except as noted by the organizer.

3/6
全国修士論文展 公開討論会
【コメンテーター】
今村創平[建築家]
小野田泰明[建築計画者]
金田充弘[構造家]
高口洋人[環境学者]
渡邉研司[建築史家]
【応募条件】】
2008年9月~2009年3月修了/修了見込の修士学生による修了時に審査対象となる修士論文に準ずるもの。修了審査がない場合は、修士学生最後の論文を対象とする。
【応募総数】50点
【審査方法】
2月末にコメンテーターによる査読。3/6、査読を経た15人が発表、それをもとに討議を行なう。賞はなし。

3/3-5
プロジェクト展スタジオ・トーク
【コメンテーター】
倉方俊輔[建築史家]
山田貴宏[建築家]
岡部友彦[建築家]
【応募条件】
建築学系の研究室でここ5年以内に取り組んだ研究、及びプロジェクトを募集対象とする。論文とプロジェクト概要を提出。
【応募総数】15点
【審査方法】
2/23、コメンテーターによる査読。3/5-7、「過去」「現在」「未来」のテーマに分けられ28人が論文を発表、それをもとに討議を行なう。賞はなし。
2月下旬、コメンテーターによる選考会。選ばれた14プロジェクトを3/3-5の3日に分けて発表、それをもとに討議を行なう。賞はなし。

二川幸夫[編集者]